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てんかんの診断・治療

てんかんは脳の疾患であり、大脳の神経細胞が過剰に興奮することで、脳の発作が繰り返し起こる病気です。

ここでは、てんかん専門医が患者さんの治療方針をどのように決定しているかについて解説いたします。

てんかんの発作型と診断のポイント

てんかん発作には、はっきりとした強直や痙攣を来すものから、意識が遠のきぼーっとするものまで多様なタイプがあります。これを発作型と呼びます。専門医はあらゆる可能性を考慮して診察を行いますが、診断の助けとしてビデオでの記録は非常に有効です。主な発作型については以下の通りです。

焦点起始発作 右手だけが痙攣するなど、脳の特定の部位から始まる発作です。
全般起始発作 何の前触れもなく意識がなくなるなど、両側大脳半球が広く巻き込まれるタイプです。
心因性非てんかん発作(PNES) 一見てんかん発作に見えますが、心理的要因など別の原因で起こる発作です。

てんかん発作の分類

てんかんの分類と適切な薬剤選択の重要性

発作型の診断に続き、てんかん分類診断(どの種類のてんかんなのか)を行います。年齢、脳波、頭部MRIなどの画像検査、認知機能検査などの情報を基に、てんかん症候群として分類できるか検討します。この分類を正しく行うことが、薬剤の選択や治療効果に直結するため、非常に重要です。

例えば「若年ミオクロニーてんかん」は全般てんかんですが、症状に左右差があるために焦点性てんかんと見間違えられることがあります。ここで焦点性てんかんの薬(テグレトールなど)を使用すると、逆にかえって症状が悪化することが知られています。

てんかんの分類フロー

てんかんの治療方針と専門医の取り組み

てんかん治療の中心は抗てんかん薬です。年齢、性別、併存疾患を考慮して薬剤を決定します。1剤目で発作が止まる割合は約5割ですが、無効な場合は2剤目への変更や複数薬の組み合わせを検討します。当院では副作用や相互作用を考慮し、原則として3剤までの併用を基準としています。

  1. 発作型の特定
    痙攣の様子や意識状態から、脳のどの部位から発作が起きているかを確認します。
  2. てんかんの分類
    脳波検査やMRI画像を基に、てんかんの種類や症候群を診断します。
  3. 最適な薬剤の選択
    副作用の少ない新規薬剤や、難治例には実績のある従来薬を組み合わせて処方します。
  4. 高度な治療の検討
    内服でも抑制が困難な場合は、大学病院などと連携して外科的手術の適応を検討します。

妊娠・出産とてんかん治療の両立

てんかんをもつ女性も出産の継続が可能です。ただし、妊娠中の発作は転倒事故や早産のリスクを高めるため、妊娠前に発作を抑制しておくことが基本となります。

赤ちゃんの奇形発症率は、薬を服用していなくても約3%存在しますが、その確率を上げないために薬剤の種類や量を慎重に調整します。妊娠は計画的に行うことが望ましく、90%以上の方は通常通りの出産が可能です。授乳についても、基本的には可能ですのでご安心ください。

運転免許の取得と道路交通法について

てんかんをお持ちの方も、治療を継続し、運転に支障をきたす発作が2年以上ないなどの条件を満たせば、運転適性ありと判断されます。ただし、大型免許や第二種免許は、薬なしで5年以上発作がない「治癒」の状態を除き、運転することはできません。

免許更新時には質問票に正しく回答する義務があり、主治医による診断書が必要となります。万が一免許が取り消された場合でも、3年以内であれば再取得の負担が軽減される制度があります。また、患者さん自身も睡眠不足や発熱時の運転を避けるなど、体調管理に注意が必要です。

高齢者てんかんの特徴と認知症との違い

高齢期は乳幼児期よりも発症率が高いことが知られています。主な原因は脳梗塞などの脳血管障害で、痙攣を伴わず「ぼーっとする」だけの症状が多いため、認知症と誤解されるケースも少なくありません。高齢者てんかんは薬物治療への反応が良い傾向にありますが、診断には複数回の脳波検査が必要になることもあります。

利用可能な医療・福祉サービス一覧

てんかんの治療を継続する上で、経済的・社会的な支援制度を利用することができます。制度の詳細については、診察時に専門医へご相談ください。

自立支援医療制度 てんかん治療に関わる医療費の自己負担が原則1割負担になります。
精神保健福祉手帳 一定の障害がある場合に申請でき、税金の控除などのメリットがあります。
障害年金 初診日から1年6ヶ月が経過し、要件を満たす場合に受給可能です。
障害支援区分認定 市町村が実施するサービスを利用するための認定制度です。
就労支援 就労を希望される方は、ハローワークの専門窓口で相談が可能です。
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