脂質異常血症の治療について
コレステロールや中性脂肪の数値が気になっていませんか?
✓ 健康診断で「コレステロールや中性脂肪が高い」と指摘されたが、症状がないので放置している
✓ 食事に気をつけているつもりなのに、数値がなかなか下がらない
✓ 家族に心筋梗塞や脳梗塞を起こした人がいて、自分も不安
✓ 「すぐに薬を始めましょう」と言われないか心配で、受診をためらっている
脂質異常症は高血圧と同様に自覚症状がほとんどありませんが、適切な管理と生活習慣の改善によって、将来の重大な病気のリスクを下げることができる病気です。当院では、総合内科専門医および脳神経・睡眠専門医の視点から、お一人おひとりのリスクに応じた最適な治療をご提案しています。
脂質異常血症(脂質異常症)とは
血液中の脂質(コレステロールや中性脂肪)のバランスが乱れた状態を指します。
高LDLコレステロール血症、高トリグリセリド血症、低HDLコレステロール血症などがあります。
(日本動脈硬化学会の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン」に基づき、年齢、性別、他の生活習慣病の有無、喫煙習慣などを総合的に考慮し、管理目標値を個別に設定します。)
最新のガイドラインに基づいたリスク評価と目標設定
2022年に動脈硬化性疾患予防ガイドラインが5年ぶりに改訂されました。これまでは冠動脈疾患の予防のみを目的としていましたが、同じく動脈硬化を基盤とするアテローム血栓性脳梗塞の予防も対象になりました。このガイドラインには、日本の久山町でのデータが使用されています。因みに久山町は福岡市の隣にあって、町民が協力して長期間にわたり健康データを追跡できるようにしており、"The Hisayama Study"として非常に精度の高い研究で世界的に知られています(茅乃舎という素敵なレストランがあり町を貫く川沿いに蛍が沢山飛んでいて大変綺麗でした)。
このガイドラインでは久山町研究を基にした久山町スコアが脂質管理目標を設定するのに用いられています。10年間での冠動脈疾患またはアテローム血栓性脳梗塞の発症リスクが2%未満を低リスク、2-10%を中リスク、10%以上を高リスクと分類し、これらは下記のポイントの合計と年齢から決定されます。


*水色が低リスク、黄色が中リスク、赤が高リスク
なお、上記のスコアを利用するにあたっては、まず冠動脈疾患またはアテローム血栓性脳梗塞の既往があるかに注目します。これらの疾患にならないことが目標であるため、既に罹患していれば生活習慣の是正とともに薬物治療を考慮することになります(二次予防)。
次に糖尿病、慢性腎臓病、末梢動脈疾患の有無があるかを確認し、あれば高リスクとしてまず生活習慣の改善を行った後に薬物療法を行うかを検討します(一次予防)。

一次予防、二次予防それぞれにおいて目標とするLDL-C、HDLコレステロール(HDL-C)、中性脂肪(TG)は以下の通りです。

*糖尿病において末梢動脈疾患、喫煙ありの場合に考慮、**急性冠症候群、家族性高コレステロール血症、糖尿病、冠動脈疾患とアテローム血栓性脳梗塞のいずれかを合併する場合に考慮、***10時間以上の絶食を空腹時とする(水は可)、****頭蓋内外動脈の50%以上の狭窄、または弓部大動脈粥腫(最大肥厚4mm以上)・TGが400 mg/dl以上の場合や随時採血の場合はnon-HDL-C(=TC-HDL-C)かLDLーC直接法を使用。ただし高TG血症を伴わない場合はLDL-Cとの差が+30 mg/dlより小さくなる可能性に注意。
なお、脂質異常症の診断において、TG値は従来空腹時の値のみが採用されていましたが、食後も含む随時TG値が167 mg/dlまたは210 mg/dl以上の場合に突然死のリスクが上昇することが分かっており、今回から随時TG値も採用されました(175 mg/dl以上)。

*10時間以上の絶食を空腹時とする(水は可)、**これらの場合は高リスク病態がないかを検討 ・TGが400 mg/dl以上の場合や随時採血の場合はnon-HDL-C(=TC-HDL-C)かLDLーC直接法を使用。ただし高TG血症を伴わない場合はLDL-Cとの差が+30 mg/dlより小さくなる可能性に注意。・HDL-C単独では薬物介入の対象とはならない
これらのように、リスク評価や治療目標の設定はやや複雑になっています。
「症状がないから大丈夫」と放置することのリスク
コレステロールや中性脂肪が高くても、日常の生活で体調の変化を感じることはほとんどありません。しかし、自覚症状がない間にも、血管の壁には少しずつ脂質が蓄積し、動脈硬化が静かに進行している可能性があります。高い数値をそのままにしておくことは、将来的に脳梗塞や心筋梗塞など、ある日突然重大な合併症を引き起こすリスクを高めることにつながります。
また、「数値が少し高いけれど、自己判断で様子を見ている」「市販のサプリメントだけで済ませている」という状態も注意が必要です。
脂質異常症の適切な目標値は、個々の背景(年齢、血圧、血糖値、喫煙習慣など)によって大きく異なります。ご自身の正確なリスクレベルに合っていない対策を続けていても、十分な予防効果が得られないケースがあります。だからこそ、ガイドラインに基づいた適切な評価と管理が大切です。
動脈硬化予防のための生活習慣の改善方法として
1.禁煙及び受動喫煙の回避
2.多量飲酒を避ける (AUDIT 7点以下を目標)
3.適正な体重を維持する(肥満においては総エネルギー摂取量を減らす)
4.適正な総エネルギー摂取のもとで、飽和脂肪酸を減らすか不飽和脂肪酸に置換する
5.コレステロール摂取量を制限(高LDL-C患者では200 mg/日未満)し、食物繊維摂取量を増やす(日本食パターン推奨)

6.1日合計30分以上の有酸素運動を週3回以上
などが挙げられています。
薬物治療としては、LDL-C低下薬とTG低下薬に大きく分けられます。LDL-C低下薬の代表は効果に優れエビデンスが豊富なスタチンです。年齢や腎障害・肝障害など背景疾患によって薬剤の選択時に注意すべきこともあり、有害反応がでないか定期的に血液検査にて確認して参ります。
総合内科・脳神経専門医としての当院のアプローチ
このように、脂質異常血症の治療は単に目先の数値を正常に近づけることだけではなく、将来の「脳梗塞」や「心血管疾患」の発症を防ぐことが本当の目的です。
当院では、専門医の知見に基づき、一見やや複雑に見えるガイドラインの基準やリスク評価(久山町スコアなど)を患者様へわかりやすく丁寧にご説明します。
無理のない範囲での生活習慣改善のアドバイスから、体質や背景疾患に合わせた的確なお薬の選択、定期的な血液検査による安全性の確認まで、将来の健康を守るために総合的な視点からサポートいたします。
将来の健康のために、今できることから始めましょう
▪健康診断で「脂質異常」「要再検査・要治療」と指摘されたばかりの方
▪食事や運動に気をつけているつもりなのに、数値が思うように下がらない方
▪ご家族に脳梗塞や心筋梗塞を患った方がいて、ご自身の数値も気になる方
血管にダメージが蓄積し、動脈硬化が進行してしまう前の「今」こそが、ご自身の健康状態を見直し、適切な対策を始める重要なタイミングです。「すぐに薬を飲みたくない」「まずは生活習慣から見直したい」というご要望も含め、一人で悩まずにどうぞお気軽に当院へご相談ください。
診察のご予約は、WEBから受け付けております。以下のリンクよりご予約のうえ、あなたの大切な血管を守るステップを一緒に踏み出しましょう。

