睡眠医学セクションコアメンバー会議
3月9日日曜に東京駅近くで、日本神経学会睡眠医学セクションの会議が開かれました。
院長はコアメンバーの一人として選出していただいておりますが、地方在住かつ開業医なので参加できるタイミングが限られており、ようやく初の現地参加を果たすことができました。
チーフは獨協医大の鈴木圭輔教授で、現地には8名参加しました。野村哲志先生は鳥取から飛行機で来られたことと思います。スタンフォード大の河合真先生はさすがにオンラインでのご参加でした。現地は夕方の5時だそうでした。
まず、学会員からのアンケート調査の分析結果の発表を獨協医大の藤田裕明先生がなされました。”睡眠医学のことを知りたいけれど知る機会がない”という結果があらためて浮き彫りになりました。
そのため教育用の教材を作ることとなっており、内容の打ち合わせも行われました。いつ寝て何時起きているか、中途覚醒はどうかなど、睡眠医学に携わる医師が必ずしている質問がありますが、このような基本的な内容をきちっと盛り込むことの重要性が提起されました。
実際に、眠いといって患者さんがこられても、話を聞いてみると睡眠時間不足が原因だったということは本当によくあり、時間はかかりますが初診時の問診がかなり重要なのは、通常の神経疾患の問診のときと何ら変わりありません。
最後に、終夜睡眠ポリグラフィ(PSG)の時に用いられる検査機器についての話がありました。
日本で正式に使用が認められている検査機器の中には、米国睡眠医学会(AASM)の睡眠スコアリングマニュアルを満たすにはセンサの数が不十分なものがあります。これが使用されている理由は恐らくコストの問題からだと思います。
当院では国際基準に基づき十分な性能の機器を用いて徹夜でPSGを行っていますが、インカムはほとんど人件費と機器使用料に消えてしまいます。使用料に消費税がかかりますが、医療費に消費税を含ませることはできません。コスト問題は睡眠を評価する医療機関が少ない理由の一つでしょう。昔のデータですが米国では一晩の検査で6000ドル(中田誠一, 口咽科 20, 2. 2008)とのことで、かなり隔たりがあります。
日米の医療制度の違いがあるにせよ、日本では世界基準のきちっとしたPSGをやりにくい環境にあり(コスト問題だけでなくヒトもいない)、やむを得ずセンサの数が少ない機器を一泊の検査で使用する医療機関があったとしても、きちんと検査の妥当性を評価された機器を使っているわけですから、致し方ないことだと個人的には思っています。特に、SASの診断だけをするのであれば影響は限られるかもしれません。
ただ、SASを含む睡眠関連疾患全体を診る場合は、睡眠技士による徹夜での監視(院内)、十分なセンサ数、ビデオでの記録の3つが正確な診断のために重要なことに変わりはありません。出来るだけ当院は現在の検査体制を続けて参ります。