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関西電力病院睡眠カンファ#1

[2021.04.29]

以前のバージョンのブログにのせていた内容ですが、ホームページリニューアルに伴いこちらにも転載します。

2020年7月

新型コロナウィルスは私たちの生活を大きく変え、様々な影響を与えています。最近、コロナには感染していなくても昨今の環境変化をきっかけに体調を崩してしまった患者さんが少なくありません。私自身も健康にもかかわらず様々な負の影響を受けてきました。そんななか唯一良かったと思えることが、毎月行われる関西電力病院睡眠関連疾患センターによる勉強会にWeb会議方式で参加できるようになったことです。平時ならば大阪から転居した時点で最新の睡眠医学に触れにくくなってしまっていたと思います。勉強会ではいつも約2時間かけて最新の研究に触れるのですが、6月のテーマはSleep performanceについてでした。

みなさん、歴史的に睡眠医学は欧米では軍事研究と関係があることをご存知でしたか。欧米では大量の資金を投入して睡眠を研究し、どうやったら兵士の眠気を減らしてパフォーマンスを上げるか、また睡眠時間不足でもパフォーマンスを維持するにはどうすればいいかなどが調べられてきたそうです。なんだか恐ろしいことで日本では考えもつきませんが、怪我や事故を防止するための情報は、一般社会にも役立ちそうです。

 まず基本的なこととして、睡眠時間不足は認知機能の低下をおこし、慢性に睡眠時間が不足している場合は一晩ぐっすり寝たぐらいでは回復しきらないことが知られています。つまり毎日しっかりと睡眠時間を確保するという当たり前のことが大事なのですね。7-8時間眠ることでパフォーマンスが保たれるという研究結果があります(注:高齢の方の場合は睡眠時間が短くなりますので7時間を目指す必要はありません)。また、睡眠時間が足りない場合の対処法を研究する目的で、思春期の被験者を、睡眠時間を6.5時間に制限した群と、睡眠時間5時間+夕方に1.5時間の仮眠をした群に分けて比較した場合は、後者の方が覚醒度や集中力の低下が少ないという研究もありました。この研究は睡眠時間不足の時の仮眠の有効性を示してはいますが(通常推奨される仮眠は15-30分程度であり90分は長すぎると思いますが)、最もパフォーマンスが良いのはやはり十分睡眠時間を確保したときですので、スマホなどで夜更かしせずきちんと眠るようにしましょう。また、睡眠時間を5時間に制限した上でカフェインを投与して認知機能に与える効果をみた研究もありましたが、プラセボよりましだったのは2-3日間しかありませんでしたので、やはり無理せず寝ましょう。

 結局はきちんと睡眠時間を確保することが最も大事ということになりますが、そうは言うけれどなかなか寝付けない、寝ても眼がさめてしまう、結果昼間にやたらと眠いという方もいらっしゃると思います。そこは医学的な介入が必要な状態かも知れず、これについてはまた触れていきたいと思います。

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