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新型コロナウィルスについての国際てんかん連盟の見解

[2021.09.07]

国際てんかん連盟から新型コロナウイルス(COVID-19)について日本語で見解が述べられています。

https://www.ilae.org/patient-care/covid-19-and-epilepsy/for-patients/faqs-in-japanese1

詳細は直接リンク先をご覧いただければと思いますが、やや分量が多めなので、

ここでは重要な箇所のみ要約し、少し解説を加えて説明いたします。

 

1. てんかんでは、COVID-19にかかりやすくなりますか?

てんかん患者さんが一般の方よりも感染リスクが高いという根拠は今のところありません。

発熱や感染症で発作が誘発されやすい場合、感染時に発作が増える可能性はありますが、これまでのところそのような根拠はでていません。

ただ、免疫力が低下している方、高齢者、さらには糖尿病やがん、高血圧、心疾患、慢性的な肺疾患など、何らかの長期的な疾患をお持ちの方では、感染リスクが高まります。

てんかんの方にとって最も大切なことは、きちんと内服を継続し、飲酒や睡眠時間不足など、発作の誘因となることを避けることです。

2. もしかかった場合は重篤化しやすいですか?

米国疾病対策予防センターは、COVID-19の重篤化リスクを増加させうる疾患の一つにてんかんを挙げています。

おそらく慢性の神経疾患に該当するためです。

英国では、特にてんかんという病名はあげていないものの、慢性の神経疾患をもつ方を「リスク」群の一つに挙げています。

3. 抗てんかん薬によって、COVID-19にかかりやすくなったり合併症のリスクが高くなることはありますか?

いいえ。抗てんかん薬の内服で感染のリスクや重篤な合併症のリスクが高まるという根拠はありません。

ただ、カルバマゼピン(テグレトール)やフェニトイン(アレビアチン)などを服用している方が解熱剤を連用すると、

肝機能障害が生じる場合があるので、かかりつけ医にご相談ください。

4. 呼吸器の障害のある人は、うつ伏せで寝ることが推奨されていると聞きました。てんかんの人には、何を推奨しますか?

最近の報告によると、COVID-19呼吸器疾患のある人は腹臥位(うつぶせ)で寝ると呼吸外改善されることが示されています。

ただし、腹臥位で寝ることと、てんかんの突然死(SUDEP)と関連が報告されています(注1)。
COVID-19による重度の呼吸困難とてんかんの両方がある人は、専門家のいる医療機関に入院することが見込まれます。

もし自宅でCOVID-19による呼吸困難が見られた場合には、医療の専門家に相談するのがよいでしょう(注2)。

注1:Ali A, et al. Epilepsy Behave. 2017によると、SUDEP症例880例のうち、睡眠時の発生が69.3%(覚醒時30.7%)で、そのうち体位が判明した114例では、87.6%が腹臥位だった。

注2:なかなか難しいですがMahr K, et al. Seizure 2020によると、SUDEP予防には仰臥位(仰向け)か側臥位(横向き寝)が推奨されているので、側臥位が良いのではないかと考えます。ただ、呼吸状況が悪ければ入院の検討が必要でしょう。

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