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検査技師ブログ 2023.4.15 睡眠潜時反復測定検査(MSLT)

[2023.04.18]

皆さまはじめまして。今年度より常勤として入職いたしました臨床検査技師です。

当院では院長と技師とで英語の教科書を使った定期的な勉強会を行っています。

今回はSLEEP MEDICINE PEARLS THIRD EDITIONのPatient 32を読みました。

患者さんは18歳女性で、当院でも行っている睡眠潜時反復測定検査(MSLT)を受けた症例でした。

 

MSLTとは「眠っても眠たい!」「急に寝てしまう」という人が、過眠症かどうかを客観的に評価する検査です。

2週間以上しっかりと睡眠がとれていなければ検査中も眠気が残ると言われているため、Sleep-wake log(入床時間、入眠時間、起床時間などを書いたもの)を記録し睡眠がきちんととれているのを確認した上で、まず1日目の夜に終夜睡眠ポリグラフィ(PSG)を行い、睡眠自体に問題がないことを確認します。

PSGできちんと眠れている状態が確認出来たら2日目にMSLTを行います。

具体的には朝から2時間ごとに4回から5回昼寝をしてもらいます。

MSLTで「眠りにつくまでの時間が短い」と「眠気が強い」ことを示します。

 

思春期の子供に比べて小さな子供ほど眠りにつくまでに時間がかかるそうです。お母さんたちが言う「(小さい子が)中々寝ない」というのも実はその通りなのかもしれませんね。

過眠症の診断基準の一つに、”MSLTで平均8分以内に眠ってしまうこと”という項目がありますが、子供は大人よりも寝付くのに時間がかかるため、思春期前の子供なら8分から12分かかっても異常に短いと考えるよう推奨されていました。

過眠症といえばナルコレプシーと突発性過眠症が代表ですが、日中の過度の眠気を来す原因としては、睡眠時間不足や夜更かしなど様々な要素があります。

従って過眠症が疑われる場合にすぐMSLTを行うことはせず、事前にSleep-wake logを書いてもらって睡眠の様子を確認することが大事になってきます。

 

★睡眠・覚醒と行動記録表(Sleep-wake log)の例

この症例は入眠が遅く、平日の睡眠時間が短くなってるのが分かります。

週末は更に夜更かししていますが、一方で起きるのが昼前になっており平日より長時間眠っています。つまり平日の睡眠時間が短くて十分ではなく、その睡眠負債を休日に返そうとしているわけです。

このような睡眠状態で検査を行うと過眠症の基準を満たしてしまうため、誤診につながってしまいます。いかにSleep-wake logを確認することが大切か分かりますね。

 

余談ですが、日本は0:00開始のSleep-wake logが多いようなのですが、

アメリカはSleep-wake logが18:00開始なのに驚きました。

確かに18:00開始だと時間が計算しやすく見やすいなぁと感じました。

 

                       検査技師

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