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関西電力病院睡眠カンファ#4

[2021.05.02]

2020年1月

関西電力病院Web睡眠カンファレンス

今月のテーマは小児の不眠に対する薬物治療についてでした。

基本的には子供に薬物をなるべく出したくないものの、精神科の臨床の現場ではどうしても処方を考えざるを得ないケースがあるとのことです。世界でも子供への薬物治療をどうしたら良いか議論があるのですが、考え方として、定型発達の子と神経発達障害NDDの子で対応を分けるというものがあります。

 

例:定型発達の8歳。既往歴なし。寝るのに時間かかり日中いらいらする。行動起因性(スマホ使用など)の不眠と診断されている。

→この場合は薬よりも行動療法、すなわち夜のスマホを禁止するなどして良い睡眠習慣を確立させることが治療の主体になります。

 

例:ダウン症の12歳の女の子。寝るのに2時間かかる。睡眠時無呼吸症候群は合併していない。行動療法をいろいろしたが効果がない。

→このような場合は投薬を考えざるを得なくなります。ただ子供の不眠に推奨されている薬物療法はありませんので、なるべく副作用の少なそうなものから試すことになります。

*注意:以下の薬剤はあくまで海外の知見ですのでご注意ください*

・メラトニン:寝付くのが30分早くなり、睡眠時間も30分のびると言われています。睡眠相が後退(眠くなるのが遅い)している子に対して寝付く時間を早めるためには、入眠3-4時間前に0.2-0.5mgからはじめて、0.2-0.5mg/週ずつふやして最大1-5mgで使ってはという推奨があります(Bruni, 2018)。睡眠催眠の目的には入眠の30分前に1-10mgで使うとされていますが、実際には人によって反応する量が違うため治験が難しいようです。1回使い始めたら1ヶ月くらいは使うが、睡眠サイクルが正常になったら年に1回くらいは使用をやめてみてはとされています。CHMP(カナダの医薬品委員会)はメラトニン徐放剤(スレニト)を子供の不眠に推奨していますが、子供への長期使用での副作用は不明です。結論としてはNDDや発達障害の子には行動療法と組み合わせて処方することを検討してよいということになります。

・ラメルテオン:メラトニン受容体作動薬で、効きが早く(ピーク1時間弱)半減期が短い(1-2.5時間)ものです。日本ではメラトニンは売っていないのでラメルテオンを使うことになります。ただ催眠目的の量(8mg)で販売されているので、睡眠相をずらすには減量する必要があります。メラトニンよりも効果があるというエビデンスはありません。

・ベンゾジアゼピン系睡眠薬:NDDの方にメラトニンの効果がなかった場合に検討するもので、クロナゼパムが一般的です。0.5-1mgで使います。非ベンゾジアゼピン系睡眠薬は12歳以下には禁忌です。

・その他、ガバペンチン、クロニジン、Doxepin、グアンファシン、抗精神病薬、カンナビスなどについて言及がありました。

 

また、レストレスレッグズ症候群などの疾患も不眠に影響しますので鑑別が必要です。この病気は体内で鉄が不足していることでおこりやすくなり、ADHDやASD(自閉症スペクトラム障害)のお子さんでは貯蔵鉄(フェリチン)が低下言われていますので、注意が要ります。

 

今回のまとめです。

小児の不眠にはまず行動療法が重要で基本的に薬は出しません。しかしNDDの方には処方を組み合わせることを考えます。ただ方法は確立していないため、リスクベネフィットを考えながらトライアンドエラーでやっていくことになります。レススレッグズ症候群などとかあればそれらの治療も考慮していきます。以上です。

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