学会でのシンポジスト
昨年12月2日は休診させて頂き、福岡で開催された日本臨床神経生理学会学術大会にシンポジストとして参加しました。
九大時代に私にてんかんと睡眠の道を示してくださった恩師の重藤寛史先生が副会長兼座長を務められ、非常に懐かしくかつ話しやすかったです。
私は睡眠関連疾患のうち、睡眠随伴症(パラソムニア)、睡眠関連運動異常症、ナルコレプシーについて話しました。
特にナルコレプシーの解説には力をいれ、カタプレキシー(情動脱力発作:主として笑ったりなどの陽性感情をトリガーにしてREM睡眠期のように筋緊張が低下し脱力を来す)の典型例とカタプレキシー重積の動画を示し、続いて論文から小児の発症初期のカタプレキシーの動画を引用して提示しました。
小児のナルコレプシー発病初期のカタプレキシーは、一見ジストニアにみえるなどとてもカタプレキシーとは思えないような症状もあり、成人とくらべかなり多彩です。二次的なドパミン作動性の異常が関与しているのではないかとの説があります。
大会の最後のセッションで聴衆が少なめだったもののその分睡眠医学に興味のある人が集まっておりアットホームな雰囲気の中で、議論が深まるよう長めに質問時間を取って頂きとても有意義な時間を過ごせました。
やはり学会は直接参加が良いですね。オンラインとは知識の頭への入り方が違いました。
実は当日朝に、横浜みなとみらいで開催された第51回日本頭痛学会総会にも参加したのです。
前日金曜に診療を終えてから新幹線と電車を乗り継ぎ、かなり遅い時間に横浜についたのですが、
翌朝ホテルの窓からみた富士山がこちら。
朝日に照らされた想像より大きな富士山をみて、ああ関東にいるんだなとしみじみ思いました。
学会の内容として印象に残ったのは小児の頭痛についての講演です。
小児は頭痛の症状を言葉で適切に表現できなかったり、成人と症状の出方が違ったり、起立性調節障害によるものだったりなどで、成人の診療と同じようにはいかない場合があります。
睡眠関連疾患においても、小児のレストレスレッグズ症候群(むずむず脚症候群)の症状は、違和感が腕にでたり、成長痛と間違えられたり、夜中より日中に症状が目立つことでADHDと思われてしまうことがあるなど成人と異なる特徴があります。当院は小児でも診療しています。
本当に臨床は奥が深いですね。