メニュー

てんかん診療に役立つ睡眠関連疾患の知識

[2023.07.23]

先日Webで講演を行いました。この会は東北大学の先生方向けに開かれているものだそうですが、大変有り難いことに講演の依頼を頂きましたので頑張って準備いたしました。

当日は恩師の計らいにより、東北大学の先生方だけでなく、九州大学のてんかん・すいみんグループの先生方、関西電力病院や京都大学の関係の方にもご視聴いただき、身の引き締まる思いでした。

内容を一言でまとめますと、「てんかん専門医こそてんかん患者さんの睡眠問題にもっと着目しよう」となります。

てんかん患者さんには、睡眠関連疾患(睡眠時無呼吸症候群(SAS)、レストレスレッグズ症候群(RLS)、睡眠時周期性下肢運動(PLMS)、睡眠時歯ぎしり(SB)など)が多いと言われています。また、これらだけでなく、病気のそのものや抗てんかん薬の影響で日中の眠気が強いことも明らかになりました。

イタリアの研究者の論文(Nobili 2021)では、てんかん専門医がてんかん患者さん全員に睡眠について質問をして、何か問題があればてんかんに詳しい睡眠専門医につなげて対処をしようという提言がなされています。ただ日本では、睡眠を専門にしているドクターが少ない上に、さらにてんかん専門医をもっているドクターとなるともっと少ないと予想されますので、この流れが適用できません。そこで私は以下のようにしてはどうかと提案しました。

これは、てんかん専門医がスクリーニングから一次検査までを担って、異常があれば睡眠専門医へつなげ、さらにその過程でスリープヘルス(寝方)に問題がある患者さんには直接指導までして下さい、というものです。こうすることでてんかん患者さんの睡眠問題をあぶり出すことができ、その対処も可能となってきます。

総合司会の中里先生からは、”非常に重い提言がなされた”、とのコメントを頂き、重要性を御認識頂けたようでした。

もしてんかん専門医の先生方の中でもっと睡眠医学を勉強したいと思われる方がいらっしゃいましたら、私はISMSJへの参加をお勧めします。睡眠医学のノウハウは知っておきたいが睡眠の専門家はめざしていないという方にちょうどよく、実践的な知識を得ることが出来ます。

発表の最後にCOVID-19関連のナルコレプシーのお話をしました。感染後、ワクチン接種後発症の症例がありますので、全国のてんかん専門医の先生に是非留意していただきたいと思っています。

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME