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COVID-19とナルコレプシーの関係について

[2023.07.02]

先日久々に学会会場に直接行くことがありました。

場所は新山口駅直結の”維新ホール”。

写真を撮ってくるのを忘れましたが、立派で面白い構造をしていました。

国際医療福祉大学の村井先生、梶川病院の加世田先生、山口日赤病院の永田先生、高知大学の松下先生といった九大関係の先生方と久々にお話もできて楽しく、やっぱり学会出席って大事だなぁとしみじみ思いました。

この学会では某病院の脳神経内科の先生が貴重な報告をされていました。

新型コロナウイルスワクチン接種後のナルコレプシー1型の報告で、当院も睡眠の検査で関わりました。

ナルコレプシー1型は、日中の過度の眠気に加えてカタプレキシーとよばれる笑った後に力が抜けるという症状が特徴の疾患です。特定のHLA(白血球の血液型)との関連が知られていて、免疫的な機序が発症に関係すると考えられています。オレキシンという覚醒物質を作る神経細胞ニューロンが障害されてオレキシンが欠乏することが原因で、10代に多く発症します。

非常に希ながらウイルス感染や免疫疾患に続発することが報告されており、ワクチン関係では2009-2010年に流行した新型インフルエンザ(H1N1インフルエンザ)に対するワクチン接種後に増加したという論文があります。

新型コロナウイルスについては、感染から回復後2週間して発症した33歳女性の報告(Roya 2023)やワクチン接種後発症の51歳女性の報告(Mahamid 2022)などわずかしかなく、今のところワクチンがナルコレプシーを引き起こすという見解にはなっていません。ただワクチン接種により炎症性サイトカインが増加し、オレキシンニューロンの活動を間接的に阻害して眠気を引き起こすのではないかという仮説が唱えられています(Garrido-Suarez 2023)。今後の研究に期待したいと思います。

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