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医師会で過眠症の講演を行いました

[2025.04.07]

先日、広島市医師会館にお招きいただき、精神科の先生を対象に中枢性過眠症(主にナルコレプシーと特発性過眠症)について講演させていただきました。座長をお努めされた中島クリニックの中島哲夫先生は高校の先輩だそうで、優しく声をかけていただきました。また、みんなのすいみんストレスケアクリニックの山下英尚先生からは、精神科医としての視点からお考えを述べていただき勉強になりました。ありがとうございました。

講演では、ナルコレプシーおよび特発性過眠症の病態の解説や実際の検査の様子などを解説し、つづいて米国睡眠専門医向けの問題集を一緒に解いて病気への理解を深めていただいて、最後に当院で経験した特殊な症例を提示いたしました。病気を知ってもらいたいという患者さんから承諾を得て、ナルコレプシーのカタプレキシー(情動脱力発作)重積の様子を動画で見ていただきました。

さて、診断にあたって重要なことを申しますと、ナルコレプシー1型(カタプレキシーのあるタイプ)を除き、ナルコレプシー2型(カタプレキシーのないタイプ)と特発性過眠症の診断においては、睡眠時間不足や睡眠時無呼吸症候群による眠気ではないことの確認が診断基準に含まれているということを強調いたしたいと思います。

過眠症の診断のための検査として、夜に一泊して行う終夜睡眠ポリグラフィ(PSG)と、翌日朝から昼寝を繰り返す睡眠潜時反復測定検査(MSLT)があるのですが、それを行う前に2週間は7時間以上の睡眠をとっておくことが求められています。睡眠時無呼吸症候群があればきちんと治療を受けていることも要件に入っています(Krahn LE et al., J Clin Sleep Med. 2021)。またレストレスレッグズ症候群などその他の睡眠関連疾患、内科疾患、精神疾患、薬剤の影響でないということも(これを言い切るのは難しい時もありますが)診断基準にはいっています(睡眠関連疾患国際分類第3版)。MSLTの日は遅くても朝7時30分には起床しなければなりませんから、夜更かしせずきちんと寝る習慣がついていなければなりません。

従って、睡眠時間不足の方、睡眠時間がバラバラな方、睡眠時無呼吸症候群があるが治療を受けていない方、状態の悪い精神疾患、睡眠に影響を与える薬剤を服用中の方などは、そのままだと過眠症の検査を受けることができませんのでご注意ください。当院では必ずsleep-wake logを書いてもらって睡眠リズムを確認しています。従ってこれを指示通りきちんと書けない方は残念ながら検査ができません。これは誤った診断を避けるためです。また、検査を受けて診断基準を満たさなければ過眠症の治療薬は処方できませんのでご了承ください。

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