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Apple Watchと睡眠時無呼吸症候群

[2025.07.14]

院長です。最近Apple Watchのデータを元に睡眠時無呼吸症候群を心配して来院される方が増えてきました。

睡眠系アプリの妥当性の研究では、睡眠時間はある程度あてになるものの睡眠の深さなどの睡眠段階はそうはいかない(脳波がないので当たり前ですが)という結果がでており、これまで積極的にアプリの使用を推奨してきませんでした。ただ最近のApple Watchは血中酸素飽和度を測定することができるため、他のデバイスとは違うのかもと思い購入してみることにしました。心房細動も分かりますしね。

私は飲酒すると無呼吸低呼吸指数(AHI:睡眠1時間あたりに呼吸が悪化する回数。正常は5回/時間未満)が20回/時間以上に悪化する睡眠時無呼吸症候群をもっていて、そのときの終夜睡眠ポリグラフィ(PSG)データを基にCPAPを使っているのですが、毎日使うのが習慣化できており家族からいびきを指摘されることは無くなりました。CPAP機器が算出する推定AHIは平均で0.1回/時間であり、とても落ち着いています。

そこで、飲酒してわざとCPAPを使わない状態と使った状態でApple Watchをつけてデータを比較してみることにしました。

データの見方はこちら↓。使い方は患者さんに教えてもらいました。

まずはホーム画面で「ヘルスケア」アプリをタップし、次に「すべてのヘルスケアデータを表示」をタップ、つづいて「取り込まれた酸素のレベル」をタップします。

結果は下記。左が飲酒ありでCPAPなし、右が飲酒ありでCPAPを使った状態での酸素飽和度です。図の真ん中の線が午前0時です。

7月12日土曜日は副院長が家にいらしてつい多めに飲んでしまい(言い訳)、夜中に中途覚醒したあと3時28分からCPAPを使い始めました(CPAPデータで確認)。CPAPを使っていない赤い線で囲ったところは酸素飽和度が低く、深夜に使い始めてから改善しているのがおわかりでしょうか。

翌日7月13日日曜日も比較のため同じくらい飲酒しましたが(言い訳)、CPAPをつかっているため酸素飽和度があまり下がっていないことが見て取れます(この日は早朝覚醒してしまいました。つくづくアルコールは睡眠によくありませんね)。

実は患者さんがお見えになるときはこの酸素飽和度のグラフではなく、「呼吸の乱れ」という項目を見てこられます。これは上記の「取り込まれた酸素のレベル」を下にスライドさせていくと出てきます。

結果はこちら。

臨床神経生理学教室出身のためか、計算式がわからないデータを解釈することに抵抗感があるのですが、同じ飲酒した日同士の比較でもCPAPを使わない日がちゃんと乱れているという結果は面白く感じました。この「呼吸の乱れ」の算出原理をネットで調べたところ、加速度センサと光学式心拍数センサを利用していると書いてありました。

私は睡眠時の呼吸状態を評価する場合、経鼻フローのデータがない場合は酸素飽和および脈拍の変動を見ているので(両方みないと脈拍の変動が体動によるものか呼吸が悪くなっておきているものかがわからない)、「呼吸の乱れ」が酸素飽和度のデータを使っていないという説明を見て、なあんだと思いましたが、未治療の睡眠時無呼吸症候群の患者さんがもってくるデータはものすごく変動しているので、わりと意味があるのではと感じました。これからも自分を使って検証したいと思います。

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